A Cyborg Manifesto
出典
New Media Reader版
(1) Donna Haraway, A Cyborg Manifesto一Science, Technology, and Socialist-Feminism in the Late Twentieth Century, The New Media Reader, pp. 515--541. 目次 初版
(2) Donna, Haraway. "A manifesto for cyborgs: science, technology, and socialist feminism in the 1980s." Socialist Review 80.1 : 65-108.
(3) Donna Haraway, Simians, cyborgs, and women : the reinvention of nature
London : Free Association Books ; New York : Routledge, 1991
日本語訳
初版
(4) ダナ・ハラウェイ(2000)『猿と女とサイボーグ : 自然の再発明』 高橋さきの訳 青土社
新装版
(5) ダナ・ハラウェイ(2017)『猿と女とサイボーグ : 自然の再発明』 高橋さきの訳 青土社
単行本・『新装版によせて』が追記。
作品が生まれた背景
「サイボーグ宣言」は1982年に『ソーシャリスト・レビュー』誌が、レーガンの時代にあって社会主義フェミニズムとは何なのかについて5ページの原稿を依頼したことに端を発するという。
『この文章で、ハラウェイが描出したのは、一言でいえば、テクノサイエンスや生物学の枠組みのシフトであり、そうした枠組みを通して見える世界の変容であった。コンピューター化の進行につれて、機械は、もはや、全体を見通して修理をするような油で磨き込まれた存在としては把握しきれなくなり、基板ごと、ユニットごと交換されるような対象となった。そして、そのユニットや基板には、機械を使用したり、修理したり、もしかすると機械の設計者でさえ見透かすことのできないような第三者の施工内容が盛り込まれるようにもなった。生物も、個体が個体に見えたのどかな時代は過ぎ去り、海生生物ならぬ哺乳動物であってさえ、こというユニットや有性生殖という増殖システムでは把握しきれなくなった。((4) pp. 516)』
要約
Introduction
ハラウェイはSFを含むいくつもの静脈とワイヤーを通してサイボーグ(「いま」と「ここ」にエンゲージする。今の世の中では、伝統的な二元論:人間 vs. 動物、有機物 vs. 機械、現実世界 vs. 仮想世界の差ははっきりとしたものではなくなってきている。)の痕跡を探る。メディアのこのような読み方はニューメディアの学者たちの仕事にとって特に適している。
本文
集積回路の女性は共通言語というアイロニックな夢を見るか
フェミニズム、社会主義、唯物論に誠実であるような、反語的な政治神話を築く作業を行う。私のサイボーグ神話は、侵犯された境界、強力な融合、そして危険をはらんだ可能性に関わるものであり、こうした事柄は、進歩的な人であれば、ポリティクスとして必須の作業の一端として探ってみる必要のあるような事がらである。
断片化するアイデンティティ
今日では、あるものにとってのフェミニズムに対して、単一の形容詞をもって名称を付与することは困難となっているし、状況にかかわりなく、フェミニズムという名詞にこだわりつづけえることさえすでに難しい。
支配の情報工学
我々は、有機的で産業的な社会から、ポリモルフな情報システムへの移行ー全てが労働であるような社会からすべてが遊戯、死に至るゲームであるようなシステムへの移行ーを経験しつつある。こうしたさまざま二項対立は、物質とイデオロギーに同時に関わるものであり、以下のチャートに示すように、心地の良い旧来の階層的支配から、支配の情報工学と私が称する身震いするような新しいネットワークへの変遷として表すことができる。
「家庭」の外の「ホームワーク経済」
新たなセクシュアリティと民族性を産み出し、女性特有の仕事の再構築を意図する「ホームワーク経済」について扱っている。
新技術の社会関係に必然的に伴う今一つの側面は、労働力として科学やテクノロジーに携わる多くの人々にとって、期待、文化、労働、生殖/再生産が再編されることである。
集積回路の女性
高度産業社会で女性が占めているさまざまな歴史的位置の見取り図をまとめることを試みている。
サイボーグ:政治的アイデンティティという神話
アイデンティティと境界をめぐる神話物語(20世紀後半の政治的想像力とは何かを垣間見せてくれるかもしれない神話物語)について扱っている。
フェミニズムSFに棲みついたサイボーグたちは、女性・人間・アーティファクト・人種の構成員・個を読む際に愉しみが、身体といったものの持つ地位を混乱させる。
私は、女神ではなくサイボーグとなりたい。
参考
キーワード